top of page

台北(ASAP)の振り返り、「女書」や研究のこと

更新日:2月17日




2023年9月下旬、GAのASAP(Arts Study Abroad Program *2023年度がラストイヤー)​​というプログラムで、同級生とともに台北に行きました。台北芸術大学と台北教育大学の学生との交流会などもあり、台湾との繋がりを作ることができる貴重で楽しい時間でした。


交流会終了後、そこで知り合った学生とGAの同級生たち10名ほどとともに、台北にあるアジアで最初にできたフェミニスト書店「女書店」にお邪魔しました。書籍を開いては皆で盛り上がり、ハードスケジュールで疲弊していた体がみるみる元気になるほどエンパワメントされる体験でした。


こうしてフェミニズムやクィアに関連するトピックではしゃいだり、語り合ったりできる友人ができたことは私にとってとても幸せなことです。


私は、エクリチュール・フェミニンが提示するオルタナティブな思考のあり方と、その文法の内にある触覚性を芸術表現に見出す研究をしています。きっかけは、これまで私自身が、主に絵画を制作する中で感知してきたものを提示したいと考えたことです。現在、清水先生のご指導のもと執筆に取り組んでいます。


一年の学びを通して、目の鱗が剥がれ、思考を深化させることができ、徐々に形にすることができてきました。


そんな私にとって、「女書店」で出会った「女書」(ニュシュ)についての本と、「女書」が現在どのように使用されているのかを知れたことは新たな発見でした。夏頃に中国人留学生の友人から「女書」の存在を教えてもらっていて、台北で「女書」に関する資料を見つけたいと思っていたのです。


「女書」とは、中国湖南省江永県の女性たちが使用していた文字で、封建社会の下文字を学ぶことを禁じられていた女性たちが代々母親から教わり、手紙や裁縫などにこの文字をしたため、コミュニケーションを取り合っていました。


一人部屋を持つことができなかった女性たちは、自分の膝の上で書いたといいます。

「女書」は「女書店」のグッズや、「阿マの家平和と女性人権館」​​のロゴに使用されていました。


「女書」が使用された「女書店」のグッズ



「阿マの家平和と女性人権館」のロゴ



「女書」は文化大革命のおり、魔女の文字であるとか、暗号の容疑がかけられてその多くが燃やされました。それほど、不思議な呪術のような風情があるように思います。

興味深いのは、漢字は水平垂直の”直線性”による■の形を基本としていますが、「女書」は◆を基本とした”斜め”の要素を持っています。また、1つの文字が複数の意味を有しているため、文章全体が手元にないと意味を読み取ることができません。しかも、「女書」で書かれた文章は歌で読まれるそうです。


これら「女書」の持つ諸特徴は、フランスで生まれたエクリチュール・フェミニンの非線的な、複数性、身体性、歌、声などを私に想起させます。

このような国を越えての共鳴を発見できたことは、大きな収穫でした。ぜひ今後の活動に活かしたいと思います。



2024年1月30日



bottom of page